小さなヒーロー・こうちゃんの金光新聞杯 AZABU HERO監督 松本信吉
8月18〜19日にご霊地で行われた金光新聞杯ソフトボール大会にAZABU HEROが7年連続の参加。予選を勝ち抜き、決勝リーグに進み、優勝した芸備ドリームスに敗れたものの、22チーム中総合5位の好成績を残した。
大会の前日、宿舎の乙島教会に到着すると、小学5年生のこうちゃんがいた。
こうちゃんは、エースで3番を打つFくん(小学校教諭・26才)の教え子である。金光新聞杯は参加資格が中学生以上であるため、試合には出場できないが、Fくんが「よい夏休みの思い出を作ってあげたい」と連れてきた。
Fくんは東京学芸大学を卒業し、地元、岡山県の小学校に赴任。昨年4年生だったこうちゃんの担任となったが、三学期にはこうちゃんが不登校になり、たいへん心配したという。「彼に自分とチームを見て元気になってもらいたい」とFくん。
練習も含めて2泊3日の共同生活。はじめは小さくなっていて、ホームシックになるかもしれないと覚悟したが、こうちゃんは15人のお兄さん、お姉さんに混じって、立派に自分の役割を果たした。
バットやヘルメット、キャッチャーの道具磨き。試合中はストライク、ボール、アウトのカウント表示板を担当。私でもよく間違えるのに、こうちゃんはほとんど間違えずに4試合の表示係を努め、チームの皆ともキャッチボールをして可愛がられた。食事も一緒に食事訓を頂き、食べきれないものは選手達に分けた。
一方、Fくんはエースとして全ての試合に登板し、投打の大活躍で勝利に貢献。こうちゃんも大喜び。ベンチに入って大きな声で応援し、お母さんと妹も我が子の様子をそっとのぞきに来た。
最初はシャイだったこうちゃんも、大会が終了し、宿舎に戻ると、別人のようないきいきぶり。プロ野球選手がホームランを打ったあとのように全員の選手にハイタッチ。みんながメッセージを書いた記念のボールが松本清治主将からプレゼントされ、「みなさんと大会に参加できて良かったです。ありがとうございました」と立派に御礼の挨拶もした。
「(担任した)クラスのみんなに幸せになったもらいたい」がFくんの信条。「野球好きのこの子には、どうしてあげたらいいのか」と考え抜いたという。最近は「うちの子だけを…」と主張するモンスター親が多い中で、「依怙贔屓(えこひいき)」「不公平」と他の親に言われることも覚悟して大会に連れてきたFくんの勇気ある行動も立派。それに不安ながらついてきたこうちゃんも立派。
ヒーローという名は、試合で活躍するだけでなく、世の中でもヒーローであってほしいという思いを込めてつけられたチーム名。7年前の初参加時はほとんど学生だったが、今は立派な社会人。選手達もそれぞれ、職場にもどってヒーローとなってほしい。Fくんとこうちゃんは、生徒が先生を、先生が生徒を「ヒーロー」にしたまさに「あいよかけよでたちゆく道」の具現化。それもこの大会があって実現したこと。
お祈り添えくださった教主金光様はじめ、全国の信奉者の皆さん、スタッフの方々、がんばったチームのみんな、お世話になった乙島教会に御礼を申し上げます。ありがとうございました。