Alert!金光教麻布教会ウェブサイトを閲覧する環境が整っていません。スタイルシートを有効にしてください。

心を神に向けて祈りあい語りあいみんなが助かる信心を・金光教麻布教会にお気軽にご参拝ください

ホームへ戻る

気ままに綴るエッセイ

教会長が気ままに綴るエッセイです。
行事報告もこちらで行いますのでお楽しみに。

2008年02月28日

道を開く者は、あられぬ行もする  松本信吉

いとこの松永忠治郎こと岩本裕輝君(40歳)がこの度、長唄で日本伝統文化振興財団賞を受賞することが決まった。
この賞は「わが国の伝統音楽の保存・振興・普及に努めることを目的とし、伝統芸能分野で将来一層の活躍が期待される優秀なアーティストを毎年一名顕彰」するもの。これまでの受賞者は、能、狂言、長唄、箏、常磐津など幅広い日本伝統文化の中から選ばれる権威ある賞である。
裕輝君の父は、松永鐵十郎こと岩本章雄氏。私の母の兄にあたる。伯父は昨年10月3日、胃ガンで72歳の生涯を閉じた。麻布教会で行われた葬儀には数百名の方々が参列され、別れを惜しんだ。伯父は乙島教会、岩本寅雄師、栄師の長男として生まれたが、5人兄弟の長男として、貧しかった家計も考えて、若くして家を出て、伯父伯母の経営していた大阪の料亭を手伝う。そこの常連客であった長唄界の重鎮・松永和風師に唄の才能を見いだされ、松永派に入門。数々の舞台や会を成功させ、松永忠治郎、忠一郎、鐵九郎をはじめ多くの弟子を育て、「夢は人間国宝になること」と語っていた。伯父は、教会の子弟に生まれ、邦楽界のパイオニアとなった。
裕輝君は長男で、次男で三味線弾きの雅輝君(松永忠一郎)とともに父の邦楽を継承し、若いときから板東玉三郎さんの舞台などに出演、いまでは弟子達にも長唄を教えている。今回の受賞は、これからの活躍をさらに期待されてのこと。もはや将来、裕輝君や雅輝君が「人間国宝」になることも夢ではない。父親の霊が見守ってくれている。

教祖様は「お互いに、もとをとって道を開く者は、あられぬ行もするけれども、これから後の者はそういう行をしなくてもよい。みやすくおかげを受けさせる」と常に仰せられていた。(高橋富枝の伝え)という。芸の道も、教えの道も初代は初代の苦労、二代、三代はそれぞれの苦労がある。開拓者の夢を、「後の者」が実現することこそ本当の継承であり、報恩であろう。
私達もしっかりと、この御道を継承し、伝えてくれた方々の恩に報いる信心をさせていただきたいものだ。

Copyright (c) Konko Church of Azabu. All Rights Reserved. Powered by ONMIX